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神経治療最前線 海外学会参加報告
ASENT Annual Meeting 2026
ASENT Annual Meeting 2026
Hyatt Regency Bethesda in Bethesda MD
2026年3月4日〜6日
東邦大学医学部 脳神経内科
狩野 修
2026年3月4日から6日にかけて、米国メリーランド州ベセスダのHyatt Regency Bethesdaにおいて開催されたAmerican Society for Experimental Neurotherapeutics(ASENT)2026年次総会に参加いたしました。本学会には、日本神経治療学会(JSNT)国際化委員会より藤原一男委員長、中村治雅副委員長、佐久嶋研委員の3名に加え、私が初めて参加いたしました。ASENTは神経治療分野における医薬品開発に関する国際的な最新知見が集まる学会であり、参加者はアカデミア、製薬企業、行政機関がそれぞれ約3割、患者団体が約1割という構成でした。
私は初日に開催されたASENTとJSNTの合同シンポジウムにおいて、ALSを中心とした日本の創薬研究に関する講演を予定しておりました。しかし、羽田発の便が機材トラブルにより6時間以上遅延したため、発表時間に間に合わず、翌日早朝のセッションにて講演を行うこととなりました(写真1)。

写真1:二日目早朝に変更となった筆者の講演
本学会では、ASENTとJSNTの合同シンポジウムに加え、両学会による非公開の会議が早朝に開催されており、長年にわたる両学会の深い連携がうかがえました。非公開会議ではPMDAワシントンDC事務所の福原弘紀先生による講演が行われ、日本の医薬品開発支援体制である「One-Stop Service」などが紹介されました。これに対してASENTの参加者から多くの質問が寄せられ、活発な議論が展開されていました(写真2)。

写真2:PMDAワシントンDC事務所の福原弘紀先生の講演(ASENTとJSNTとの非公開会議)
ポスターセッションでは、佐久嶋研先生による日本のALS臨床評価ガイドラインの紹介に加え、京都大学iPS細胞研究所の坂野晴彦先生より家族性アルツハイマー病患者を対象とした治験研究の紹介が行われました(写真3)。日本発の研究成果が国際的な場で共有されていることを実感する機会となりました。

写真3:日本のALS臨床評価ガイドラインの紹介(左:佐久嶋研先生、右:宇山佳明先生)
また夜には、PMDA宇山佳明先生の古くからのご友人で、FDAにおいて薬剤安全性分野のトップを務め、リアルワールドデータ解析の第一人者として知られるGerald Dal Pan先生と会食する機会に恵まれました。Dal Pan先生は脳神経内科の専門医でもあり、さらに10回以上の訪日経験を持つ親日家でもあるため、日本の神経疾患研究や医薬品開発について多くの共通の話題で意見交換を行うことができ、大変有意義な時間となりました(写真4)。

写真4:FDAの薬剤安全性分野のトップである、Gerald Dal Pan先生との会食
最終日には、坂野先生とともにPMDAワシントンDC事務所を訪問いたしました。福原先生と1時間以上にわたり意見交換を行い、各国と比較した日本の創薬環境の現状や課題について多くの示唆をいただきました。とりわけ、日本における臨床試験の国際的存在感を高めるためには、海外治験の誘致や国際共同試験への積極的な参画が今後ますます重要であることを改めて認識いたしました(写真5)。

写真5:PMDAワシントン事務所訪問(筆者)
今回のASENT参加を通じて、本学会はこれまで参加してきた国際学会の中でも日本の存在感が特に大きい学会であると感じました。その背景には、藤原委員長が15年以上にわたり継続して参加し、米国の研究者や行政関係者との信頼関係を築いてこられたことが大きく寄与しているものと思われます。JSNTがASENTとの連携をさらに強化することで、日米間の情報共有や研究協力は一層促進されるものと期待されます。私自身も、今後は次世代の立場として継続的に本学会へ参加し、国際連携の発展に貢献していきたいと強く感じました。
