会員専用

このコンテンツの閲覧には
会員専用ID・PWが必要です。

神経治療最前線 海外学会参加報告

2019PNS

2019 Peripheral Nerve Society Annual Meeting

千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学
水地 智基

2019 PNS Annual Meeting
Genoa, Italy
22-25 June, 2019

2019 Peripheral Nerve Society Annual Meeting

 2019年6月22〜25日に開催された、2019 PNS (Peripheral Nerve Society) Annual Meetingに参加しました。PNS Annual Meetingには、世界中から末梢神経疾患のスペシャリストが参加し、最新の知見や臨床試験の結果報告がされ、活発な議論が交わされます。今年はイタリア北西部の港湾都市である、ジェノヴァで開催されました。中世にはジェノヴァ共和国として栄え、現在も歴史ある街並みが大規模に残されています(写真1)。

2019PNS写真1

写真1

PNS Annual Meetingでは専門分野により、Charcot-Marie-Tooth病関連ニューロパチー、炎症性ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、中毒性ニューロパチーに分かれてセッションが進められます。筆者は主に炎症性ニューロパチーのセッションに参加しました。GBSとCIDPに関する演題が多く、疫学研究や病態研究のUpdate、診断ピットフォールなど、非常に参考になる内容が盛り沢山でした。また、末梢神経疾患の診断における、超音波検査やMRI検査に関する内容が増えてきたように感じました。自分の発表では、Poster presentationでPOEMS症候群の全国調査結果を報告しました。発表会場では、同じくPOEMS症候群に関する研究発表をしたロンドンから参加した研究者と、お互いの研究について議論を交わすことができました。良い刺激を受け、これからの研究のモチベーションになりました。

Clinical Trial Updatesのセッションでは、GBSやCIDPに対するIVIg療法に関する試験が多く報告されました。オランダで実施された、GBSに対するSecond IVIgの有効性を検討したRCTは、negative studyとして報告されました。また、CIDPのIVIg維持療法に関するRCTでは、IVIg維持療法の減量・中止プロトコールが提唱され、overtreatmentを減らすことができる可能性が見出されました。これらの結果は、不必要な治療を減らし、医療経済に良い影響を与える貴重なデータだと感じます。日本からは名古屋大学の飯島先生が、IgG4自己抗体陽性CIDP患者を対象としたrituximabの有効性と安全性を検証する多施設共同試験(RECIPE試験)の概要を発表されました。現在進行中の試験ですが、日本から新たなエビデンスが発信できることが楽しみです。

PNS Annual Meetingのもう一つの楽しみは、豪華なレセプションです。今年のクロージング・レセプション会場は屋外でした。青々とした芝生とプールがついた中庭で、優雅な時間を過ごしました(写真2)。

2019PNS写真2

写真2

レセプション以外にも、学会4日目の夜には、日本からの参加者同士で学会場近くのレストランに集まり、食事会を開催しました。総勢15名が参加し、日本の団結が深まったと感じます。(写真3)

2019PNS写真2

写真3

PNS Annual Meetingは北米とヨーロッパで交互に開催されており、2020年はアメリカのマイアミで、2021年はデンマークのコペンハーゲンで開催予定です。そしてなんと、2022年には、初めてアジア(日本!?)で開催される可能性があり、今から楽しみでなりません。

▲Page Top