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第4回神経治療研修会

神経治療最前線 海外学会参加報告

MDS 15th International congress

15th International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders 学会報告
Parkinson病の最新治療について

大熊泰之(順天堂大学医学部附属静岡病院 脳神経内科)

15th International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disorders
Toronto/Canada
2011年6月5日〜9日

15th International Congress of Parkinson’s Disease and Movement Disordersが、2011年6月5日から9日までカナダのトロントで開催されました。本学会は、Parkinson病(PD)および運動障害疾患にかかわる臨床医・研究者が一同に会して成果を発表、情報交換する会です。第1回は1990年4月にワシントンD.C.で開催され、筆者もそのころから参加してきました。当初は隔年でしたが最近では毎年6月ごろに開催されています。2006年10月には水野美邦教授を中心として京都で開催されました。

今回、日本人の貢献として、初日のオープニングセレモニーにおいて、Dopa responsive dystonia(瀬川病)を発見した瀬川昌也先生がhonorary membership awardを受賞されました。また2日目のPlenary Sessionでは、Diffuse Lewy Body Disease(現在のDementia with Lewy Bodies)を世界に先駆けて提唱した小阪憲司先生が、“Anatomical substrate of cognitive decline in parkinsonian disorders”と題する講演を行い、聴衆の関心を惹きました。

治療の最前線としては、3日目のPlenary SessionでフランスのOlivier Rascol教授による、2010−2011年に報告されたClinical trialのレビューが行われました。その内容を中心に、本学会で報告された新規治療のclinical trialについて紹介します。

1.運動症状に対する治療

A.ドパミン作動性薬剤

STRIDE-PD (Stalevo Reduction in Dyskinesia Evaluation) study
STRIDE-PDは、entacaponeを早期から併用することによりContinuous dopaminergic stimulationを実現すべく行われた試験であるが、かえってジスキネジアが早期に生じてしまうという結果であった。ただしlevodopa (LD)の量が400mgより少ない群と400mg以上の群で比較すると、400mg以下に保った群は有意に運動合併症が少なかった。
IPX066 (カルビドパ/LD徐放製剤:APEX-PD Trial)
新規PD患者を対象としたプラセボ対照試験(30週、3用量)において、UPDRS II+IIIスコアが有意に改善した。PGI、CGIにおける「改善以上」の割合もIPX066群で有意に優っていた。
229 study (ropinirole prolonged-release (PR))
すでにLDを服用している患者において、ropinirole PRを加えたほうが、LDを増量するよりもジスキネジアの発現を遅らせる。
Pramipexole extended-release (ER) study
早期および進行期PDに対するRCTに続いて行われたオープン試験の結果、長期的にもpramipexole ERの効果と安全性が示された。
Levodopa-Carbidopa Intestinal Gel (LCIG)
進行期PD患者を対象とした、経口カルビドパ/LDとPEGからのLCIG持続注入のRCT(12週)。LCIGは進行期PD患者のoff時間を短縮、ジスキネジアがない/支障ないジスキネジアがあるon時間を増加させた。
Inhaled Apomorphine (VR040:Apomorphine dry powderの吸入)
在宅におけるoff症状に上記を使用した。本剤吸入で治療したoff症状のうち83%のoffが消失した(プラセボでは13%)。安全性も問題なかった。

B.非ドパミン作動性薬剤

Preladenant (Adenosine A2A antagonisit)
2時間以上off時間のあるLD服用中のPDが対象。プラセボ対照、複数用量 (1、 2、 5、 10mg)試験において、5mgと10mgの用量で有意にoff時間が短縮した。 ジスキネジアは増加しなかった。
AFQ056(metabotropic glutamate receptor type 5 antagonist : 抗ジスキネジア)
13週の第2相試験で抗ジスキネジア作用を検討。 197例を10mg から100mgの複数用量とプラセボの6群に割付け、100mg群のみプラセボと比較して有意差を認めた。
Fipamezole (Antagonist of the adrenergic alpha-2 receptor:抗ジスキネジア)
米国とインドで実施されているFJORD phase IIb 試験。30、 60、 90mgのうち90mg群のみ抗ジスキネジア作用が認められた。

2.非運動症状に対する治療

Pramipexoleの抗うつ効果
Baroneらによるプラセボ対照DBT。PramipexoleはBDIスコアを有意に改善し、おそらく直接作用による。しかし、症状は概して軽度で、改善効果もマイルドである。従ってさらなる検討が必要である。
RotigotineのRECOVER (Randomized Evaluation of the 24-hour Coverage) study
287例のPD患者をプラセボ対照DBTで早朝の投薬前にPDSS/UPDRSスコアを測定。経皮rotigotineパッチが早朝の運動機能改善と夜間睡眠障害の改善に有用であることが示された。
Amantadine の病的ギャンブリングに対する効果
論文によって結果が異なり、さらなる試験が必要である。
Donepezilの転倒減少効果
19例のPDにおけるクロスオーバー試験。プラセボに比して有意に転倒を減少させた。被験者を増やしたさらなる検討が必要。

3.Disease modification effect(病気の自然歴(進行)を遅くできるかどうか)

ADAGIO study
Delayed-startデザインでMAO-B阻害剤であるrasagilineの効果をみたところ、1mg群のみdisease modifying効果があるかもしれないと報告されている。2mg群では証明できなかった。運動スコアよりもADLスコアの方が評価に適していた。長期のオープン試験が行われている。
Neurturin (神経栄養因子)遺伝子の線条体への注入
Sham-controlled trial。12ヶ月の時点ではSham operation群に比して有意な改善はなかった。引き続きフォローされる。黒質への注入も検討されている。

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